処理水、正確な情報発信を 概算要求で知事、復興策8項目要請

 

 内堀雅雄知事は28日に福島市で開かれた「原子力災害からの福島復興再生協議会」で、2024年度の政府予算の概算要求に向け、本県の復興と再生を加速させるための8項目について重点的に要請した。東京電力福島第1原発からの処理水の海洋放出を巡っては、「本県だけの問題ではなく日本全体の問題である」と改めて指摘し、国が全責任を全うすることを求めた。

 処理水に関しては、客観性や透明性、信頼性の高い安全対策や国内外への正確な情報発信に取り組むよう注文した。協議会は冒頭を除いて非公開。協議会後の報道陣の取材に内堀知事は、本県側の出席者から、処理水放出に関する意見が多く上がったことを明らかにし「政府には新たな重い課題としてのしかかっている処理水の問題も含めて復興・再生に全力を尽くしていただきたい」と語った。

 原発事故の帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)外に「特定帰還居住区域」が設定されることを見据え、面的に十分な除染を行うことや、残された土地と家屋などの取り扱い方針の早期決定を促した。4月に設立した福島国際研究教育機構(エフレイ)に関しては、中長期的な枠組みによる予算の別枠での確保をはじめ、県や市町村などがエフレイと連携して行う事業への財政的支援を要請した。

 渡辺博道復興相は「福島の復興再生は息の長い取り組みが必要だ。必要な事業を確実に実施できるよう取り組んでいく」と述べた。