福島県産品、中部圏で発信強化 9月補正、処理水風評対策4.7億円

内堀雅雄知事は29日の定例記者会見で、東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出開始を受けた新たな風評対策を示した。全国の大消費地での「常磐もの」など県産品の発信や、教育旅行や企業研修など分野別のモニターツアーの企画、本県への理解や共感を促す新CMの放映などで全国への情報発信を強化する。
29日発表した9月補正予算案に風評対策の経費として約4億7000万円を計上した。処理水放出に伴う新たな風評への懸念を踏まえ、本年度の当初予算で143億円を投じた風評対策を強化する。
県産品の大消費地で開かれるイベントでの情報発信を強化するため、関東圏(東京都)や関西圏(大阪府)での参加イベントを増やし、新たに中部圏(名古屋市)にも拡大、本年度当初に立てた計画と合わせて年度内に計9カ所で発信する。教育旅行、企業研修、メディアの3分野でモニターツアーを企画し、復興の歩みを発信する本県独自の旅行施策「ホープツーリズム」に計約100人を誘客する。
CMは県クリエイティブディレクター箭内道彦さんの監修で制作、民放キー局や民放公式テレビ配信サービス「TVer」、動画投稿サイト「ユーチューブ」などで来年1~3月に放映する。これまでCMで力を入れていた農産物だけでなく、復興に向けた取り組みや観光、食などの情報が広く伝わるようにする。
また県外の流通業者を対象に、県内産地や市場の視察ツアー、知事のトップセールスを展開。水産物の競争力強化に向けては、首都圏の大手量販店の県産鮮魚売り場に立つ販売員への研修や相馬、いわき両地区でのイベントを計画する。県民に対する漁業者の思いの発信や「常磐もの」取扱認定店の登録促進など県内向けの発信にも力を入れる。
このほか、県庁や県立美術館、県立博物館、アクアマリンふくしまなどの食堂で、県産水産物や、日本の水産物の輸入を停止する中国向けの輸出が多いホタテを活用するため調整している。
内堀知事は「大消費地に向けた県産品の発信やモニターツアーを通じて福島の今を感じてもらう。先頭に立って『常磐もの』をはじめ県産農林水産物の魅力を伝えていく」と述べた。
県は、9月11日開会予定の9月定例県議会に風評対策の経費を含む総額54億1500万円の補正予算案を提出する。
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