「迷惑電話」福島県内3000件超 処理水放出後、着信頻度変わらず

 

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出後、中国からとみられる嫌がらせ電話が相次いでいる問題で、県や県内市町村への嫌がらせ電話は29日までに3000件を超えた。内堀雅雄知事は同日の定例記者会見で「早期の沈静化へ政府一丸となった対策を講じてほしい」と求めた。

 内堀知事は同日正午までの24時間に、県庁の代表電話に新たに500件以上の嫌がらせ電話があったことを明らかにした。県によるとこれまでの累計は1576件。片言の日本語で暴言を投げかけたり、中国語で大声でまくし立てたりするような着信があった。電話はすぐ切れることが多いが、多い時には1分に1回程度の頻度でかかってきている。

 各市町村には放出開始後から28日正午までに計約1500件の着信があり、多くは福島市への電話だった。内堀知事は「『福島』のキーワードで探しているのではないか」とした上で、「飲食店や旅館、病院、薬局などで業務の円滑な運営に支障がある」と強調。実態把握を進める考えを示した。

 一方福島市は、市役所や学校、公共施設に28日、114件の嫌がらせ電話があったと29日発表した。前日比2件増とほぼ横ばいで推移。累計は1029件になった。

 木幡浩市長は復興庁に緊急要望を行い、外交ルートを通じた働きかけや迷惑電話をブロックする仕組みの構築、経済的な被害が発生した際の補償などの対応を求めた。