東邦銀行と野村証券が包括提携 地銀東北初、収益向上へ

 

 東邦銀行、とうほう証券、野村証券は30日、金融商品の仲介業務で包括提携に基本合意したと発表した。野村が証券口座の管理や営業などを支援し、東邦銀は野村からの出向者を受け入れて新たな部署を設けてノウハウを共有するとともに、地域の強固な営業基盤を生かして野村の運用商品を販売、収益向上につなげる。2024年度内の最終合意を目指す。

 東邦銀本店で記者会見した佐藤稔頭取は、保険を除く投資信託や債券などの預かり資産残高が3社で約6千億円に上るとし「具体的な営業計画はこれからだが、1兆円程度まで増やしていきたい」と目標を語った。野村は同様の内容で地方銀行4行と提携しており、東邦銀と提携すれば5行目で、東北では初めてとなる。

 東邦銀は会社分割の形で公共債や投資信託など顧客の証券口座を野村に移管する。新たな部署は東邦銀のほか、野村の福島、郡山両支店からの出向者、とうほう証券の社員で構成し、野村の金融商品の勧誘や販売、アフターフォローなどを行う。野村の福島、郡山両支店は閉店するが、名称と役割を変えて上場企業など一部の法人の顧客向け業務を継続する。とうほう証券の在り方は未定という。

 24年に少額投資非課税制度(NISA)が拡充されることなどを受け、資産運用の需要を取り込む。佐藤頭取は「高度な預かり資産サービスが提供できる盤石な営業体制が構築できる」と基本合意の意義を強調。野村ホールディングス(HD)の奥田健太郎社長・グループ最高経営責任者(CEO)は「地域の経済発展に貢献できるよう全力で取り組む」と語った。

 野村と提携している地銀は山陰合同銀行(松江市)、阿波銀行(徳島市)、大分銀行、福井銀行の4行。