大賞に田原にかさん 双葉進出アパレル主催「ひなた短編文学賞」

 
大賞を受賞した(前列右から)田原さんと双葉町長賞の蒼月さん、選考に当たった(後列右から)塚田さん、伊沢町長、矢島社長=双葉町

 福島県双葉町に進出したアパレルメーカーのフレックスジャパン(長野県千曲市)は30日、「生まれ変わる」をテーマに募集した「ひなた短編文学賞」の受賞作品を発表した。全国から寄せられた817作品の中から、大賞に田原にかさん(神奈川県)の「可愛(かわい)がって下さい」、双葉町長賞には蒼月友(あおつきゆう)さん(郡山市)の「愛を紡ぐ細胞」が選ばれた。

 文学賞は、衣料品再生のための縫製工房「ひなた工房双葉」が町内で7月に開業した記念として実施。事業と町の復興への歩みがともに「再生」をキーワードとしているため企画した。

 ジャンルやプロ、アマを問わず、千字程度の小説を6~7月に募った。小説家塚田浩司さんを選考委員長とし、矢島隆生社長、伊沢史朗町長らが選考した。大賞と町長賞に加え、MFU(日本メンズファッション協会)賞、準大賞、佳作、アイデア賞、ティーンズ賞の計21作品が決まった。

 表彰式が30日、町役場で行われ、矢島社長と伊沢町長が田原さんと蒼月さんに賞状を贈った。2人の作品はともに「形が変わっても、変わらないもの」をメッセージとしている。田原さんは「作品を通して双葉町やひなた工房双葉をかわいがってもらえればありがたい」と喜びを話し、蒼月さんは「作品が双葉を思う人々に寄り添えることができればうれしい」と述べた。

 矢島社長は「福島県と浜通りは科学技術の最先端地域に変わっていくが、同時に文化の発信拠点であってほしい」と思いを語り、「人間には変わらないものがある。それはかけがえのないものだ」と強調した。

 新調した同社のオーダーシャツを着た伊沢町長は「一人でも多くの人に双葉に関心を持ってもらい、生まれ変わる双葉の姿を見てほしい」と感謝した。塚田さんが総評した。

 同社はホームページ(HP)で文学賞の結果を発表し、著作権の確認が取れた応募作品については公開する予定だ。作品をまとめた冊子も作製し、MFUが11月29日に東京都で開く「第52回ベストドレッサー賞」の授賞式会場で配布する。