福島労災病院、いわきの現地で建て替えへ

 

 福島労災病院は31日、いわき市の現在地で施設を建て替える方針を示した。老朽化に伴い当初は医療創生大への移転を計画していたが、地盤などの問題で見直しを進めていた。同病院は今後、運営者の独立行政法人労働者健康安全機構と協議する方針で、遅くとも来年度までに基本構想を策定し、その後6~7年での新施設完成を見込んでいる。

 同病院によると、移転の準備を進める中で候補地が大規模に造成された土地と判明した。病院を建てた場合、安全性が担保できず、補強工事にも多額の費用がかかることから、移転を断念したという。ほかに適切な土地もなく、長期化すれば地域医療に影響が出る可能性があるため、現在地での建て替えを決めた。

 福島労災病院は2次救急を受け入れ、地域医療の中核を担う。診療を続けながらの建て替え方法を模索する考えで、担当者は「地域医療に影響が出ないようにしたい」としている。

 移転計画を巡っては、市といわき明星大(現医療創生大)、同病院の3者が2017年5月、大学敷地への移転に向けた基本合意書を取り交わした。同病院と労働者健康安全機構が移転時期や規模などの調整を続けていた。内田広之市長は「新たな施設が早急に整備されることを強く願う」とのコメントを発表した。合意書については今後、撤回手続きが進められる。