不明仏像、早大で発見 鳥追観音(西会津)の観音三十三応現身像

「会津ころり三観音」の一つとして知られる鳥追観音如法寺(福島県西会津町)に祭られている町指定重要文化財「観音三十三応現身像(おうげんしんぞう)」の失われた12体のうち6体が、「早稲田大学會津八一記念博物館」(東京)に所蔵されていることが2日分かった。応現身像は33体でひとそろいだが寺が所蔵するのは21体のみで、12体は長い間所在不明だった。関係者は「離れた地にある仏像が一具(ひとそろい)と判明するのは奇跡的だ」と驚く。
早稲田大教授や県立博物館の学芸員ら約10人が同日、寺を訪れ調査を実施。4月には早稲田大学會津八一記念博物館所蔵の6体の調査も行っており、作風や大きさが共通していることからひとそろいの仏像と断定した。
調査メンバーの一人、早大文学学術院(文学部)の川瀬由照教授(56)によると、観音三十三応現身像は全国で十数例しか確認されていない珍しい仏像で、県内では同寺と会津美里町の法用寺に所蔵されている。如法寺の仏像の頭部には「至徳元年」(1385年)との文字が確認され、単独で存在する応現身像の中では最古級の一つと考えられている。
SNSきっかけ、6体判明
調査のきっかけは、如法寺の仏像の修復を手がける男性がSNS(交流サイト)に応現身像の写真を投稿したことだった。早大在学中に同博物館に所蔵されている応現身像について研究していた東海学園大の小野佳代教授がたまたま投稿を目にし、「博物館所蔵の6体は、この寺所蔵の像と一具の像である可能性が高い」との情報を寺に寄せ、調査が行われることになった。
調査は4日までの3日間にわたりに行われる。観音三十三応現身像に対する全国初の本格的な調査で、成果は学術報告書にまとめられる。寺から遠く離れた博物館に6体が所蔵されていた経緯については分かっていないことが多いという。川瀬教授は「この調査によって、地域の歴史と信仰が明らかになる可能性がある」と意義を話す。同寺の三留まき子さん(42)は「調査をきっかけに、現在も所在不明の残りの6体が発見されることを願う」と期待を口にした。