介護助手拡大へ検証 福島県、負担軽減の効果調査

 

 福島県は本年度、県内の介護福祉施設で介護職員の業務を手助けする「介護助手」についての調査を始めた。介護現場の人手不足が問題となる中、県内でも資格や経験が不要な介護助手の採用が広がっており、県は調査を通じて介護職員の負担軽減や施設の業務改善への効果などを把握し、今後の介護職員や介護助手の雇用に向けた施策などに反映させる。有識者を交えた検証も踏まえ、年度内にも調査結果をまとめる。

 県は2020年度に始めたモデル事業で、働く意欲のあるシニア層や子育て世代を中心に、介護助手を年間100人程度増やす計画に取り組んでいる。この結果、20年度は92人、21年度は75人、22年度は43カ所の介護福祉施設で計107人が採用され、各施設で介護助手の採用が進んでいる。

 介護助手は介護業務の中で清掃や洗濯、配膳、シーツ交換など施設利用者には直接触れない補助的な仕事を担う。

 県によると、採用した施設からは「介護職員の負担軽減につながり、食事介助や移動介助などの専門的な仕事に集中できた」などの意見があったという。

 県内の介護福祉施設で働く介護福祉士ら介護職員は21年度が3万3731人。県の推計では、25年度には必要とされる介護職員3万6676人に対し、約3500人が足りなくなる見込みだ。人材不足が続く中、比較的採用しやすい介護助手を積極的に活用することで、介護職員の負担軽減とサービスの質の向上が期待されている。

 ただ「介護助手の仕事をイメージできない」「導入方法が分からない」などとして採用に二の足を踏む施設もあり、県は介護助手を採用する施設への調査を通じて効果を確認し、一層の活用につなげたい考えだ。

 介護人材の確保に向け、県は若者を対象にした出前講座などにより「介護職は大変」といったイメージ払拭による人材定着、新規雇用数を増やす取り組みも続けている。県は「介護分野での人材不足の状況は依然として変わっていない。介護助手が導入されることでサービス向上につながってほしい」(社会福祉課)としている。

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 介護助手 介護保険施設や事業所で介護福祉士らを支援する職種で、介護についての資格や経験がなくても働くことができる。施設の清掃や備品の補充作業、ベッドメーキングなどを行い、介護福祉士らを手助けする。地域の元気な高齢者や、空いた時間を活用したい主婦らが働き手となることが想定されている。