5歳堂々!騎馬武者の卵 古殿・鈴木太陽ちゃん、野馬追目指す

古殿町に、来年の国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追」で騎馬行列への出場を目指す鈴木太陽ちゃん(5)がいる。標葉(しねは)郷騎馬会から20年以上にわたり出場し、同騎馬会で勘定奉行を務めた父清彦さん(44)から馬の扱い方などを学び、来年の初陣を見据える。
太陽ちゃんは生まれた時から馬がそばにいる環境で育った。自宅のすぐ近くに清彦さんの会社で管理する馬小屋があり、1歳の時には初めて馬にまたがった。「おむつをしている頃でも、泣かずに澄まして乗っていた。『馬を乗りこなしている』って気分だったのかな」と清彦さんは振り返る。
現在は清彦さんが所属するNPO法人馬事振興会(古殿町)の会員に交じり同法人の管理するばん馬「フルード」の世話を手伝う。体高約1.8メートル、体重約1トンの馬体にブラシをかけ、農業用フォークを慣れた手つきで扱って飼料の草を積み下ろす。手伝いは自発的に始めた。干し草を与える時は「食べやすいように」(太陽ちゃん)と生の草を摘んで混ぜ合わせる気配りも欠かさない。日頃からフルードを引いていて「おとなしく歩いてくれるとうれしい」と笑顔を見せる。
馬に乗る技術も成長につれて上達している。昨年の七五三では武者の装いでサラブレッドにまたがり、自宅から古殿八幡神社まで片道約1.5キロを往復。今年5月に古殿町で行われた水田の代かき行事では農耕馬の背に乗り、ぬかるむ田んぼを歩いてみせた。
そんな太陽ちゃんはここ数年、清彦さんの背中を見るうちに野馬追への憧れを抱いてきた。野馬追で歌われる民謡「相馬流れ山」も清彦さんと風呂や車の中で歌って少しずつ覚えた。
7月29~31日に行われた野馬追では、清彦さんと行動を共にして騎馬武者の準備を体験した。29、30の両日は午前3時半ごろに起きると清彦さんの乗る馬に餌を与え、馬の飾りを準備し、馬運車まで馬を引いた。清彦さんは「格好いい部分だけではなく、裏の大変さを学んでほしかった」とその意図を語る。
まだ5歳ということもあり「本人がつらいと感じたら無理はさせないつもりだった」と清彦さん。だが、太陽ちゃんは一つ一つの準備を真剣な表情でこなした。日中は神旗争奪戦などの行事には目もくれず、清彦さんの馬から片時も離れようとしなかったという。
野馬追最終日に、太陽ちゃんは標葉郷騎馬会長の林富士雄さん(55)に「来年はよろしくお願いします」とあいさつし、決意を示した。「馬の格好いいところを見てほしい」と"騎馬武者の卵"は出陣の日を待ちわびている。(秋山敬祐)
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