除染土問題、若者が意見 環境省、福島で大学生など180人座談会

 
「伝えるべき福島のこと」をテーマに自身の意見を語る参加者=福島市

 東京電力福島第1原発事故を受け、県内の除染で出た土壌の処分計画を巡り、環境省は3日、全国の大学生や若手社会人約180人による座談会を福島市で開いた。県外最終処分の実現と再生利用の促進に向けた理解醸成活動の一環で、座談会としては過去最大の規模。参加者が、簡潔な答えを見いだせない問題について率直に意見を交わした。

 環境省の公募に応じた主に20~30代の参加者は1~3日、中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)や飯舘村にある再生利用の実証現場のほか、旧避難指示区域に進出した企業などを視察した。最終日の座談会は18班に分かれ「全国の若者に伝えるべき福島のこと」をテーマに自身の考えを語った。

 参加者からは「同じ放射線量でも、安全と感じるかどうかは人によって全く違う」「一方的に伝えるのではなく、コミュニケーションを取りながら溝を埋める活動が大事だと思う」「福島の魅力を具体的に伝え、状況を知ってもらうことが重要だ」などの意見が出た。

 除染で出た土壌は中間貯蔵施設に搬入されており、政府が2045年3月までに県外で最終処分する計画を掲げる。しかし、処分量を減らすために重要な再生利用の実証事業は、安全性などを懸念する周辺住民らの反発を受け、一部を除いて進んでいない。

 参加した東京都の自営業村上由紀さん(31)は取材に「知らないことばかりだった。周りの人に各地で感じた現実をありのままに話していきたい」と話した。

 最新情報をXで発信

 福島地方環境事務所は3日、除染で出た土壌を巡り、飯舘村長泥地区で進む再生利用事業などの最新情報についてX(旧ツイッター)で発信を始めたと明らかにした。アカウント名は「ドジョウのつぶやき@長泥」。