内堀知事「現場の緊張感重要」 処理水放出後初、第1原発視察

 
緊急遮断弁の配管を視察する内堀知事

 内堀雅雄知事は4日、処理水の海洋放出が始まってから初めて東京電力福島第1原発を訪れ、放出関連設備の運転状況や安全対策を確認した。視察後、報道陣の取材に「(放出開始からの)12日間、安定的に機能していると確認しているが、これからが長い闘い。油断せず、徹底して安全対策を続けるという現場の緊張感が極めて重要だ」と述べた。

 強い雨が降る中、内堀知事は高台から処理水の希釈、放出設備などを確認した。異常発生時に放出を止める緊急遮断弁や、海底トンネルに直結する立て坑などを見て回った。内堀知事は取材に「安全性のシステムは構築されているが、その運用を行うのは人間で、機械設備にはトラブルが付きまとう」とし、長期にわたる処理水放出で緊張感を持続し安全対策を徹底する必要性を改めて強調した。また「海水で薄めたとはいえ、これだけの量が放出されていくんだなと複雑な思いを持った」とも語った。

 視察に先立ち、内堀知事は東電の小早川智明社長と会談し「安全対策がしっかり実施されることが大前提で、想定外の事態があってはならない。廃炉と汚染水、処理水対策の実施者という意識を常に持ち、全社を挙げて万全の対策を講じるよう強く求める」と要請した。小早川社長は「現在は安全に放出を進めている。重い責任を自覚し、安全最優先で廃炉作業を進めていく」と応じた。