「ふくしまゼロカーボン宣言」採択倍増3797事業所 実現会議奏功

 

 脱炭素を推進する意思を表す「ふくしまゼロカーボン宣言」を採択した県内企業・団体数が8月末時点で3797事業所となり、3月末の1767事業所から倍増した。県が4日、発表した。6月に「ふくしまカーボンニュートラル実現会議」を設置した効果が早速表れた格好だが、まだ県内全事業所(約8万7000事業所)の5%にも満たない。県は認知度の低さを課題と捉え、環境啓発の企画などを通じて一層の浸透を図る。

 同宣言は2022年度に始まった。▽二酸化炭素(CO2)排出量を把握▽省エネルギー性能が高い照明などを使用▽再エネを導入―など10項目のうち、各職場で取り組む内容を選択、県に電子申請する。事業所は環境配慮の姿勢をPRできるほか、実践を通じて燃料費削減やブランド力強化につながるなど利点は多い。

 20年度に県内で排出された温室効果ガス(CO2換算)は推計1512万トン。「産業」「運輸」「民生業務」といった事業所関連部門が8割弱を占めた。50年までの温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)の実現を目指す県は、6月に産学官216団体でつくる実現会議を設立し、構成員を通じて協力を求めてきた。

 県は今年から10月を「カーボンニュートラル月間(仮称)」と位置付け、集中的に環境啓発事業を展開する。表彰制度を通じて企業や学校などの先進事例を広く周知し、30年度の目標に掲げる1万1000事業所の参画をできる限り早める考えだ。

 県は「脱炭素の流れは避けては通れない。まずは現状を把握し、各事業所で何ができるかを考えるきっかけにしてほしい」(環境共生課)としている。