脱炭素講座を充実化 いわきで10月開講、昨年の2倍以上受講へ

 
共同講座の開設を発表する田口校長(前列左から5人目)と小野寺社長(同3人目)、庄司社長(同4人目)らコンソーシアム構成企業の代表者

 いわき市の企業15社でつくる共同事業体「いわきCN(カーボンニュートラル)人材育成コンソーシアム」と福島高専は4日、温室効果ガスの排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)の専門的な人材育成に向けて本年度実施する共同講座について、教育分野や受講人数を拡充し10月から開講すると発表した。学生と参加企業間の連携強化も図り、温室効果ガス削減に向けた波及効果を拡大させる考えだ。

 同様の共同講座は昨年度、東洋システム(いわき市)と福島高専が、脱炭素社会を先導する人材を育成しようと初めて開講した。脱炭素の取り組みの重要性が増す中で地元企業の競争力を高め、エネルギーや蓄電池などの関連産業の集積に結び付けるのが狙い。

 本年度は複数の企業が関わることで、企業間や学生が連携したカーボンニュートラル事業の実現につなげようと共同事業体を組織した。東洋システムの庄司秀樹社長は「未来を見据えて企業が集まったと思う」と語る。構成企業の支援金に加え、経済産業省の事業費補助金を受けて運営する。

 24年2月まで15回

 来年2月まで15回開催し、高専生や事業体企業、地元事業所から昨年講座の2倍以上となる150人が受講する予定。福島高専は専攻科1年生の必修科目とする。教育内容には、太陽光や水素、蓄電池のほか、新たにバイオマスエネルギーや省エネ住宅などの建築部門も加えた。行政や大学、先進企業の専門家が講師を務める。来年2月には一般向けのシンポジウムも開く。

 事業体の幹事会社代表の小野寺智勇常磐共同ガス社長と福島高専の田口重憲校長らが4日、いわき市で会見した。小野寺社長は「学生と社会人が成長、修練し地域社会で活躍してほしい」とし、田口校長は「浜通りのカーボンニュートラルの意識の高まりへの効果を期待したい」と語った。

 【事業体構成企業】あすか製薬、アルプスアルパイン、小名浜製錬、共栄、クレハいわき事業所、クレハ環境、堺化学工業、常磐共同ガス、常磐共同火力勿来発電所、東洋システム、トラスト企画、ひまわり信用金庫、東日本計算センター、古河電池いわき事業所、福島高専学校協力会