「福島-台湾」24年3月就航 13年ぶり国際定期便、訪日客拡大へ

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故以降、休止していた福島空港の国際線定期便が来年3月末、13年ぶりに再開する見通しとなった。県と台湾の格安航空会社(LCC)タイガーエア台湾などは5日、空港と台湾を結ぶ定期便就航に向けた覚書を締結した。台湾との定期便は初めてで、県内のインバウンド(訪日客)の拡大などが期待される。

 タイガーエア台湾の福島空港への就航は、チャーター便を含めても初めて。来年1月16日から、福島空港と台湾・桃園国際空港を結ぶ定期チャーター便(180席)を往復で週2便運航。来年3月末の夏期ダイヤから定期便として運航したい考えだ。運航の本数などは今後、定期チャーター便の利用実績などから判断するという。

 福島空港と海外を結ぶ定期便を巡っては、1999年から中国・上海、韓国・ソウルの2路線が運航していたが、震災後に休止。県は定期便再開に向けて国際線チャーター便の運航実績を積み重ね、台湾やベトナム、タイなど東アジアの国・地域を中心に需要を喚起してきた。台湾では本県の観光地や食が評価されており、震災後のチャーター便数は356便、利用者数も4万2590人と最多だった。

 福島空港で行われた覚書の締結には、内堀雅雄知事とタイガーエア台湾の最高経営責任者に当たる董事長(とうじちょう)の陳漢銘(チェンハンミン)氏、台湾の旅行会社グロリアツアー(台北市)の役員の王志軒(ワンジシェン)氏が出席した。内堀知事は「合意は県の観光業を力強く後押しし、復興を大きく前進できる」と期待を寄せ、陳氏は「日本は台湾の人々にとって、旅行といえば一番行きたい場所。福島の皆さんも台湾に来てほしい」と語った。グロリアツアーは定期便を活用したツアーなどを企画する。

 福島空港は93年3月に開港し、今年で開港30年を迎えた。利用者がピークだった99年度は国内、国際定期便計9路線が運航し、75万7625人が利用していた。現在は大阪と札幌の国内2路線が運航している。近年は震災と原発事故、新型コロナウイルス禍の影響で利用者が落ち込んでいた。県は国際定期便の再開を受け、さらなる路線の拡大などにもつなげたい考えだ。