「台湾定期便」観光拡大へ期待 福島県、空港利用増の起爆剤に

 
路線運航に関する覚書を交わす(左から)陳氏、内堀知事、台湾の旅行会社グロリアツアーの王志軒氏

 13年ぶりとなる福島空港の国際定期便の就航に向け、県と5日に覚書を締結した台湾の格安航空会社(LCC)タイガーエア台湾。最高責任者に当たる薫事長(とうじちょう)の陳漢銘(チェンハンミン)氏は「福島との路線が開通すれば、さらに東北へ行きやすくなる」と期待を寄せた。

タイガーエア台湾は、台湾と日本の地方空港を結ぶ路線に積極的で本県周辺の仙台、茨城、新潟などの各空港との定期便を運航している。同社は福島空港との路線開通に伴い、台湾で魅力を感じる人が多いという本県の四季の景色や、日本でスキーを楽しむ利用客を増やそうとしている。

 本県にとって国際定期便の再開は悲願だ。県は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、国際定期便の復活に向けて地道なPR活動を展開してきた。

 日本文化に興味を持つ人が多い台湾、ベトナム、タイを重点国とし、旅行業界関係者らを招いたツアーを開催したり、航空会社や旅行会社に何度も働きかけたりしてきた。また国際チャーター便の運航に力を入れ、実績を積み重ねてきた。台湾とのチャーター便は2011年度以降、350便を超える。

 新型コロナウイルスで中断する時期もあったが、日本への入国制限が緩和されたことに合わせ、県は昨年12月からPR活動を再び活発化。タイガーエア台湾との覚書締結に結び付けた。

 ただ、今回の就航が福島空港の利用者増につながる起爆剤になるかどうかは、今後の実績次第という現実もある。内堀雅雄知事は覚書の締結式で「福島空港を一つの拠点とし、広域観光のネットワークをつくりたい」と話した。

 県は今後、福島空港を利用するインバウンド(訪日客)を増やすため、東北各県をはじめ、東京都、茨城県、栃木県などとも結ぶ広域観光ルートを活用し、さらなるPR活動の強化が求められそうだ。