定期便就航「台湾からの訪日...歓迎」 観光関係者「もっとPR」

 
観光客を乗せた「霧幻峡の渡し」。関係者は定期便により訪日客増に期待を寄せる=5日午前、三島町

 福島空港と台湾を結ぶ定期便就航に向けた覚書が締結された5日、台湾を中心としたインバウンド(訪日客)を多く受け入れてきた実績のある関係者からは、観光産業の回復へ期待の声が上がった。

 只見川の観光用渡し船「霧幻峡(むげんきょう)の渡し」の窓口となる金山町観光物産協会事務局長の小沼優さん(32)は「客足が増えるのは喜ばしいこと」と歓迎する。チャーター便があったコロナ禍前には、金山町に年間約2000人が訪れ、同協会などが台湾での誘客活動も積極的に行ってきた。しかし、コロナ禍で誘客活動も制限され、本年度上半期の台湾からの来客は300人程度にとどまっている。コロナ禍でJR只見線が全線再開通したため「これまで台湾の人たちが見ることができなかった風景に触れてほしい」と促す。

 「(台湾からの訪日は)大歓迎。もっと台湾に向けた観光PRが広まればいい」。会津若松市の東山温泉「庄助の宿瀧の湯」会長の斎藤純一さん(73)は台湾の宿泊客を待ちわびる。瀧の湯では、コロナ禍前は国内の観光客が減る1~4月に台湾の観光客からの予約が特に多かった。会津の冬景色が目当てとみられ、繁忙期外の予約が「ありがたかった」という。「日本の風習を知ってもらいながら、会津らしい料理を提供したい」と普段通りの接客で迎える構えだ。

 只見町のJR只見駅前にある町インフォメーションセンター。スタッフの菅家智則さん(46)は「(只見線の)全線再開通後は観光客も増え、とてもありがたい。利用客を町の周遊観光にどうつなげるかなどの課題に向き合いながら、案内業務をしている」と現状を語る。只見を訪れる訪日客はまだまだ数えるほどだが「言語の違いなどの不安はあるが、できる限りの対応をしたい」と気を引き締める。

 「福島の復興にとって大きな一歩」と話すのは、県産品を使った商品の詰め合わせを台湾の人向けに販売するサクラ・シスターズ社長の峯岸ちひろさん(32)=飯舘村。「人の往来はもちろん、福島の食に対するプラスのイメージが広がるといい。福島の魅力と復興の現状の両方が伝われば」と期待を込めた。