児童虐待相談...過去最多2256件、福島県内 「心理的」7割占める

 

 福島県内の4児童相談所(児相)が2022年度に対応した児童虐待相談対応件数(速報値)が2256件(前年度比271件増)で、最も多かった19年度の2024件を上回り過去最多となった。県が7日、発表した。配偶者間のドメスティックバイオレンス(DV)や、きょうだいへの虐待を目撃するなどの心理的虐待が1666件(同292件増)で全体の約7割を占めた。県は「県警などの関係機関と連携して、早期発見につなげる」とした。

 県によると、DVのあった家庭の子どもを警察が心理的虐待を受けたと捉えて児相に通告するため多い傾向になるという。県と県警は2018年、児童虐待事案の情報共有を徹底する協定を結んでおり、関係構築を進めてきた。県警と共に児童虐待に関する研修会を開くなどして連携を深めたことが対応件数の増加につながっていると分析した。

 このほか、身体的虐待は392件で前年度から増減はなかった。性的虐待は23件(前年度比1件減)、ネグレクト(育児放棄)は175件(同20件減)。虐待者は実父が1112件、実母が800件で、合わせて84・8%だった。

 相談経路は「警察等」が1611件で全体の71・4%で最も多く、「学校等」9・9%、「近隣・知人」4・7%と続いた。警察から児相への通告は全国と比べても高いという。児相別では県中(郡山市)が790件で最多。浜(いわき市)571件、中央(福島市)554件、会津341件だった。

 県は、社会的に虐待への関心が高まっていることが通報につながっていることもあるとして、県警との連携をさらに強める方針。また、児相の職員を確保したり、職員の質の向上を図ったりして、態勢強化を進めていく考えだ。