教員人材確保へ、福島大入試に「地域枠」新設 県教委と連携協定

 
連携協定を結んだ三浦学長(左)と大沼教育長

 福島大は、地元での教員人材の確保を見据え、福島県教委と連携して入学試験に「地域教員希望枠」を新設する。教員に関する地域枠が導入されれば県内で初めて。今後、導入時期や詳細を詰める。同大入学後の単位認定を念頭に、高校生向けの新たな教育プログラムの開発も共同で進める。教員志望者が減少する中、高校から大学、採用までの一貫した流れを連携してつくり上げ、教員養成の「福島モデル」を構築する考えだ。

 県教委と同大は7日、連携協定を結んだ。県教委は昨年度から県立高校普通科に「特色あるコース制」を導入。「教育コース」を取り入れた8校は大学教員による講演会などを開いているが、入試制度上の仕組みや体系的な教育プログラムの開発には至っていない。

 地域枠は、地元での就職希望者を対象に一定の入学枠を設ける制度で、現在は主に医学部で導入されている。特別プログラムは、教育コースを選択した高校生に福島大が講義を行い、同大に進学すれば単位として認定される形を想定。教育実習先には地域課題の探究に熱心な高校を提供するなど、長期的な視点で人材を養成する仕組みを目指す。

 教員志願者の減少は全国的な課題だ。本県も公立学校教員採用試験の志願倍率は減少傾向にあり、2024年度の倍率は小学校1・4倍、中学校3・6倍、高校9・6倍といずれも00年度以降で最低だった。

 中央教育審議会の特別部会は8月、「緊急的に取り組むべき施策」として教員養成課程の見直しや地域枠の設定を提言しており、同様の試みが各地の大学で進むとみられる。

 県庁で行われた締結式で大沼博文教育長は「福島大との連携を一層強化し、未来を担う教員の育成と質の向上にまい進する」と述べた。三浦浩喜学長は「教員養成の福島モデルをつくりたい」と語った。