処理水放出の差し止め求め国と東電を提訴

 

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出を巡り、漁業関係者を含む本県や宮城、茨城の住民らが8日、国と東電に海洋放出の差し止めを求め、福島地裁に提訴した。

 原告側弁護団によると、処理水放出の差し止めに関する提訴は全国初。原告は本県などの151人で、このうち県民は101人。10月末には第2陣の提訴も行うという。訴状では、海洋放出によって消費者の平穏な生活や漁業関係者らのなりわい基盤が侵害されると指摘。原子力規制委員会の処理水放出に関する東電の実施計画や関連設備の認可を国に取り消すよう求める。東電にも放出中止を求める。

 この日は雨が降る中、原告らが横断幕やのぼり旗を手に同地裁周辺をデモ行進し、提訴した。

 提訴後、市内で記者会見を開き、弁護団共同代表の広田次男弁護士が「多くの人々が原発事故の影響で今も苦しんでいる。放出強行を許すわけにはいかない」と話した。

 北村賢二郎弁護士は「『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』との約束に違反する。重大な過失である原発事故を起こした国や東電が、故意に行う海洋放出は二重の加害行為」と批判した。

 原告の女性は「一日も早く放出が中止され、一人一人の被害回復が進むことを望んでいる」と訴えた。