まさか避難所が...内郷二中体育館の床に水 ステージ上へ退避

安全なはずの避難所に水が押し寄せた。8日の集中豪雨で避難所となった福島県いわき市の内郷二中体育館では床から水があふれ出し、避難者がステージ上に退避する状況に陥った。「まさかここまで水が来るとは...」。思わぬ事態に遭遇した作山一枝さん(81)は青ざめた表情で証言した。
当時、体育館に避難していたのは周辺に住む4世帯6人。作山さんが午後7時半ごろ避難して一息ついた後、排水溝から水があふれ出し、体育館内に水たまりのように広がったという。
60年以上、学校の近くに住んできた作山さんは「ここまで被害がひどいのは初めて。安心して暮らせるよう川や避難所の整備を考え直してほしい」と訴えた。
市によると、同校は浸水想定区域外だった。それにもかかわらず、同校がある内郷宮町など内郷地区の河川周辺は市内で特に被害が集中した地域だ。周辺の宮川などで一気に水位が上がり、さらに標高の高い地域から流れ込んだ水を受け止め切れず、氾濫につながったという。内田広之市長は「もともと構造的な問題を抱えていた地域だった」と明かす。
市は独自の対策として、高所からの水を受け止める排水路の整備を進めるとともに、堤防のかさ上げも検討していた中で豪雨に見舞われた。内田市長は「国や県による河川工事に比べて対応が遅くなっていた」と認めた上で「早期に進めるため、国や県の協力を求めていきたい」と述べた。
住民避難を巡っては、市は8日午後8時40分から段階的に、市内全域に避難情報で最も高い警戒レベル5の「緊急安全確保」を県内で初めて発令した。内田市長は「適切な対応ができたと考えている」とした。
ただ、市が豪雨になる前の早い段階(8日午後3時)で市内全域に警戒レベル3の「高齢者等避難」を発令後、数時間は避難者がいない状態が続いた。内田市長は「市民に危機意識を持ってもらうための方策を考える必要がある」と語った。
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