「怖かった」「予想を超える被害」 南相馬でも浸水や冠水

 
床上浸水で水につかった大量の資材が運び出された店舗=9日午前10時35分ごろ、南相馬市小高区・松月堂菓子店

 福島県南相馬市も台風13号の影響で8~9日に激しい雨が降り、原町区と小高区を中心に浸水被害が相次いだ。

 「逃げることもできないし、怖かった」。住宅が床上浸水の被害を受けた同市原町区南町の大橋秀子さん(86)は、当時を思い返して声を震わせた。

 大橋さんは1人暮らし。深夜にふと目が覚めると、地面から約40センチの高さまで雨水が入り、玄関が水浸しだった。気付いた隣家の住人が消防に連絡し、大橋さんは職員に背負われて車に乗り込み、原町二中に避難した。「腰が悪く、歩くのがつらい。いざとなったらどうしていいのか分からなくなった」と振り返った。

 同市小高区の松月堂菓子店では、周辺の道路が冠水した影響で店内に水が流れ込み、床上まで浸水した。

 社長の横川裕信(ひろのぶ)さん(42)は「店舗内は床上約20センチ、店の横の道路は膝ぐらいの高さまで冠水していた。予想を超える被害だ」と驚きを隠せない様子だった。

 被害に気付いたのは9日午前3時ごろ。店の正面入り口に土のうを積んでいたが、別の入り口から泥水が流入、包装紙や箱などの資材のほか、冷凍商品を陳列するショーケースが水に漬かり、故障するなどの被害が出た。従業員総出で復旧作業に追われており、横川さんは「お客さんのためにも早急に復旧作業を落ち着かせたい」と力を込めた。