国宝・白水阿弥陀堂が浸水被害 仏像は無事、復旧見通せず

 
近くを流れる河川があふれ、浸水被害を受けた白水阿弥陀堂(右)=9日午後0時20分ごろ、いわき市内郷白水町

 熱帯低気圧に変わった台風13号に伴う大雨は、福島県いわき市など浜通りに甚大な被害をもたらした。

 建造物として県内で唯一国宝に指定されているいわき市内郷白水町の白水阿弥陀堂は、床上浸水の被害を受けた。近くを流れる新川が氾濫したことで、お堂の周り一面が水に漬かった。

 お堂を管理する願成寺によると、お堂の床上20~30センチほどが水に漬かったという。床上浸水したのは過去70年の中で初めてだという。大雨が落ち着いた後、地元の消防団員らがポンプを使って、水を抜く作業を数時間にわたり行ったが、復旧の見通しは立っていない。

 赤土隆興副住職(38)によると、檀家(だんか)から被害を心配する電話が相次いだという。赤土副住職は「人的な被害もなく、お堂の中にある仏像は無事だった。元通りになるよう前を向くしかない」と話した。