【ウェブ発】あっという間に川が上昇...住宅や墓地が浸水 いわき

 
井田木川(左)の氾濫により、一部が大破した北好間地区の住宅=10日午前9時ごろ、いわき市好間町

 台風13号に伴う豪雨はいわき市好間町にも大きな被害をもたらした。このうち北好間地区では井田木川が氾濫し、川沿いの住宅や墓地などが水に漬かった。周辺では10日、住民がたまった泥の撤去や、後片付けをする姿が見られた。

 「線状降水帯は怖い。想像を超える被害だ」。いわき市の会社員渡辺佳浩さん(56)は深刻な表情を見せた。母と兄夫婦が暮らす住宅は一部が大破し屋根が押しつぶされ、2メートル近く浸水。40年ほど前にも浸水被害にあったが、これほどの規模は初めてだ。

 母らは浸水にいち早く気付き、近くの高台に避難し無事だった。水位はみるみる上昇し、あっという間の出来事だった。渡辺さんは「命が助かっただけでもいい。そういって前を向かないと耐えられない」と本音を吐露した。

墓地で後片付けをする住民浸水被害を受けた長寿院の墓地。地域住民らが後片付けに追われた=10日午前8時45分ごろ、いわき市好間町

 北好間地区の長寿院では墓地が浸水し、通路に泥がたまり塔婆が散乱。住民らが通路の泥を掃いたり、汚れた墓石を拭いたりしていた。同市の会社員阿部光男さん(63)は「先祖さまを泥の中にいさせる訳にはいかない。彼岸も近いので、早くきれいにしてあげたい」とタオルやブラシで墓石に付いた泥などを落としていた。

 同寺院の白土和男さん(83)によると、墓地は約1メートル近く浸水した。白土さんは「ひどい被害だが、自然災害だから文句を言っても仕方ないね」と自分に言い聞かせていた。(佐藤健太)