原発処理水、初回7788トン...海洋放出完了 設備や海域に異常なし

2回目の放出、今月下旬にも
東京電力は11日、福島第1原発にたまる処理水の初回放出分約7800トンの放出が完了したと発表した。放出が始まった8月24日以降、設備や運用面でトラブルはなかった。周辺海域の海水や海産物のモニタリング(監視)でも異常は確認されず、東電は「計画通りに安全に行われている」との認識を示した。今後、設備の点検を行い、東電は早ければ今月下旬にも2回目の放出を始める方針だ。
東電によると、1日当たり約460トンのペースで処理水を放出、10日午後2時50分ごろにタンク内の放出が完了した。その後、配管内に残る処理水を真水で洗い流す作業を実施、11日午後0時15分に初回分として約7788トンの放出が全て終わったという。処理水に含まれている放射性物質トリチウムの海への放出総量は年間上限の約22兆ベクレルを下回る約1・1兆ベクレルだった。
東電は12日以降、放出関連設備全体の点検を実施する。大量の海水で薄めた処理水を一時的に保管していた放水設備「上流水槽」をいったん空にし、水槽の壁や床の状況を確認するという。運用実績も精査し、手順の改善につなげる。
大きな風評被害、確認されず
処理水の放出を巡っては、中国が日本産海産物の輸入を全面停止したほか、中国からとみられる嫌がらせ電話が相次いだ。内堀雅雄知事は放出開始後の8月31日に岸田文雄首相と官邸で面会、こうした事態の早期沈静化を求めた。
内堀知事は11日の定例記者会見で「処理水の問題は長い闘い。想定外の事態が生じることがないよう、油断することなく万全の対策を講じてほしい」と政府や東電に注文した。
放出後、県内の一部では宿泊施設の予約のキャンセルが確認されたものの、大きな風評被害は確認されていない。一方、ふるさと納税の寄付額が増加するなど、本県への支援が広がる動きがみられ、内堀知事は「こうした応援を力に、前に進んでいくことができるのかなとの思いもある」とも語った。
原発には約134万トンの処理水が保管されている。東電は処理水に含まれるトリチウムを、国の基準(1リットル当たり6万ベクレル)の40分の1に当たる同1500ベクレル未満になるまで海水で薄めた上で、海に放出する計画だ。本年度は約3万1200トンを計4回に分けて海に流す予定で、東電は2051年までの放出完了を目指している。
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