「早く元通りの生活に」 浜通り豪雨災害、懸命な復旧作業続く

 
豪雨で被災して出たごみや土砂の撤去作業をする市民ら=11日午後2時25分ごろ、いわき市内郷内町

 記録的な豪雨で甚大な被害を受けたいわき市など浜通りで11日、復旧の動きが本格化した。1300棟以上が被災したいわき市では、災害廃棄物やボランティアの受け入れが始まり、被災者が生活再建に向け、懸命な作業が続いた。

 県内最多の浸水被害が出た同市内郷地区の市民運動場の仮置き場では、受け入れを開始した午前9時から、災害ごみを積んだ車両が長い列を作った。終了時間の午後4時までに約620台が訪れ、泥が付いた家具や家電を運び込んだ。

 「家の中の片付けもさらに進められる」。内郷宮町の自宅が床上浸水の被害を受けた国井利一さん(76)はビニール袋いっぱいに詰めた災害ごみを捨てた。被災後、2日間にわたり家の中の片付けに奔走。ようやく一区切りを付けたという。

 罹災(りさい)証明書の受け付けは市内の各支所などで行われた。内郷支所を訪れた新妻勝彦さん(68)は内郷内町の実家が床上20センチの浸水被害を受け、修繕のために証明書が必要だという。「早く家を直して、家族に普段の生活に戻ってほしい」と、家に急いだ。

 ボランティアも早速活動

 ボランティア活動では市災害ボランティアセンターに登録した194人のうち46人が早速活動した。内郷地区を中心に11軒の住宅で家財の運搬や清掃作業に汗を流した。

 高校時代からの友人同士の高橋成也さん(21)と松本大門さん(21)は、実家への帰省期間を使ってボランティアに参加。床上浸水した内郷地区の新妻不二夫さん(68)方で家財の運び出しなどを手伝った。2人は「体力のある若い人が行った方が良いと思った」と力を込めた。依頼した新妻さんも「一人ではどうにもならなかった。ありがたいよ」と笑顔を見せた。

 南相馬市でも、罹災証明の受け付けが始まるなど復旧への動きが進んだ。市が整備した同市原町区の商業施設「おおまちマルシェ」も11日に営業を再開。市や同施設によると、道路の側溝からあふれた雨水が店舗内に流入し、休業していた。

 県も支援窓口を設置

 県も11日に災害ボランティアセンターを設置しており、いわき市の運営を支援していく方針だ。同日の県災害対策本部員会議で内堀雅雄知事は「被災者の住居確保や災害廃棄物の処理、浸水家屋の清掃などは人手不足」とし、ボランティア参加を呼びかけた。