小規模事業者、支援求める声 浜通り豪雨から1週間

県内初の「線状降水帯」が発生し、浜通りに甚大な被害をもたらした記録的豪雨から、15日で1週間となった。特に被害の大きかったいわき市では、小規模事業者を中心に営業再開の見通しが立たない状況が続く。「経済的な支援があれば」。物価高騰などの影響もある中、事業者は苦境に立たされている。
「一瞬やめることも考えた。でも、お客さんのためにも、こういう形でやめたくない」。床上浸水の被害に遭った内郷宮町にある竹ノ内簡易郵便局の関明美局長(68)は再起を誓う。
豪雨で胸の高さまで水が押し寄せ、局内の備品が軒並み使えなくなった。再開のために備品を買いそろえれば「100万円ではくだらない」。建物の補修も踏まえると「再開まで長ければ半年」を要するという。その間の収入はなく「(経済的な)支援があるならば受けたい」と望む。
内郷商工会は、会員企業を対象に実態を調査している。加盟する約550社のうち、被災地区内にあると見込む約200社への訪問を進めるが、湯沢良一会長(59)は「高齢の事業者は再開できるのか」と懸念する。自身が内郷白水町で営む石材店も営業車やトラックは全て廃車となり、営業再開の見通しは立っていない。
商工会は調査を通じ、無担保無保証の融資のあっせんも行っているが「数千万円の被害が出ている企業もある」と湯沢会長。「収入がなくなり、生活できなくなってはいけない。小規模事業者対策にしっかり取り組んでほしい」と求める。
南相馬でも復旧急ぐ
いわき市と同じく災害救助法が適用された南相馬市にも被害の爪痕が残る。原町商工会議所によると、14日現在で26事業所の被害を確認。市街地やJR原ノ町駅の周辺で浸水被害が多かったという。
原町区の旭電気工事では、資材や車が水没、事務所には泥が入り込んだ。被害額は約1000万円。2019年の東日本台風に続く被害に、渡部昌彦社長(61)は「近くに川はなく、見通しの甘さがあったのかもしれない」と振り返る。
現在は被害前の仕事は継続しているものの、新たな受注への対応が遅れている。「浸水の原因を突き止めて対策してほしいが、今は自衛するしかない。二度あることは三度あるから」と渡部社長。「ライフラインにつながる仕事。復旧が遅れれば顧客対応が遅れる」。一日も早い復旧を急ぐ。
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