「おらが村の高校」に別れ、相馬農高飯舘校に幕 産業団地整備へ

東京電力福島第1原発事故の影響で休校となっていた相馬農高飯舘校が15日、本校に統合され、閉校した。閉校に伴う県立高校学則の改正が同日の県報に告示され、施行された。同校がある飯舘村は周辺に産業団地を整備する方針を示しており、新たな産業創出による復興推進に期待がかかる。
「先人や多くの関係者が『おらが村の高校』として伝統を築いてきてくださった。多くの方の思いが詰まった高校は統合となるが、一つの区切りであり歴史の節目だ」。東日本大震災後、同校の在り方について国や県などと議論を交わしてきた前飯舘村長の菅野典雄さん(76)は、思いを口にした。
同校は原発事故による全村避難後、学校機能を県教育センターに移転。2012年度にサテライト校を福島明成高に開設し、授業を継続した。「教育は全ての基本。地域と共に歩んできた学校を何としても残したかった」と振り返る菅野さん。同校を巡っては、村営の「村立高校」という形で校舎や寮を新築する計画も示されていたが、財政面などで断念。20年度から休校となっていた。
菅野さんは「本校への統合という形で飯舘校の居場所ができたのは良かった。学校の歴史や伝統が継承されていくことを願いたい」と語った。
同校の卒業生で、産業団地整備予定地が立地する深谷地区在住の三浦富二さん(69)は「学校再開が実現できなかったことは残念だが、産業団地が整備されることで村に多くの人が足を運ぶことになるだろう」と期待した。
同校は1949年5月に相馬農高大舘分校として開校。56年の町村合併で飯舘分校に改称後、2008年に飯舘校と改称された。
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