大熊町60ヘクタール先行除染へ 帰還居住、3年後の避難解除目指す

大熊町は15日、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、特定帰還居住区域として先行して除染する下野上1区の復興再生計画案をまとめた。対象区域は下野上1区の金谷平、北向の両地区の一部で、面積は約60ヘクタール。町は今月中に県の同意を得た上で、国に計画案を申請する。双葉町と同様に年内にも除染を始め、早ければ3年後の避難指示解除を目指す。
特定帰還居住区域を巡っては、政府が大熊、双葉両町で本年度から先行除染を始めるモデル事業を進めており、13日に計画案をまとめた双葉町と共に新制度の適用第1号となる。
大熊町が15日の町議会全員協議会で計画案を説明した。町内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)は昨年6月に避難指示が解除された。下野上1区はJR大野駅周辺が復興拠点となったものの、復興拠点から外れた地域もあり、行政区が分断されていた。
計画案には、ほぼ全ての宅地など生活圏が面的に盛り込まれ、山林のみが外れた形となった。集会所や消防屯所、神社なども特定帰還居住区域に入れ、区域につながる道路も除染するとした。
吉田淳町長は「ようやくここまで来たという思い。できる限り早く除染と避難指示解除が進むよう国に求めたい」と語った。その上で「今回の区域に入っていない帰還困難区域全体の再生に引き続き取り組んでいく」と強調した。町によると、下野上1区全体の住民登録数は8月末時点で326世帯881人。