片付け「早く誰か助けて」 いわき豪雨被災の高齢者、心身に疲労

浜通りに大きな被害をもたらした記録的豪雨から1週間が経過した15日、被害が大きかったいわき市では被災者が継続して復旧作業に追われていた。その中、慣れない片付け作業や避難生活などで、高齢者の心身の負担が増してきている。「早く誰かに助けてもらいたい」。時間の経過とともに、高齢者の顔に疲労がにじむ。
「体力的に厳しく、一人では何も進めることができない」。同市内郷宮町で1人暮らしをする鈴木滝子さん(85)は、床上浸水の被害があった自宅で力なく話す。被災後は同市平地区の娘の家に避難。家族に復旧作業を手伝ってもらってはいるものの、仕事などで一人になることが多く、一人で泥のかき出しなどを行う。
鈴木さんは血圧が高く、5月ごろに入院するなど、体力面で不安を抱えている。「床下の泥を早くかき出さないと家が駄目になってしまう」と不安を口にした。
同市好間町の立原ミフさん(86)は次男と住む自宅が床上1・5メートル以上、水に漬かった。現在は市内にある長男の家に住みながら復旧作業を行う。慣れない長男の家での生活は「眠れないこともある」という。加えて「食欲はあまりない。日々の片付けで体力的にもきつい」とこぼす。
それでも「自宅の片付けを最後までやっていきたい」。被災前の生活に戻るため、懸命に前を向く。
被害の大きかった内郷地区や好間地区では、高齢者など住民の健康状態を確認するため、保健師による健康調査が行われている。保健師の広江久美子さん(54)ら4人は15日、好間地区で調査を実施した。
広江さんは「休むことを忘れて片付けに没頭している人が多くいる。不安や焦りなどがあると思うが、少しでも食べて、寝て、風呂に入って休むことが大切になる」と注意を呼びかけた。
ボランティア派遣進まず
いわき市には被災者から延べ270件超のボランティア要請が寄せられているが、人手不足で15日までに応えられたのは70件程度と需要に追い付いていない。市は16日からの3連休を正念場と捉えて募集の動きを強めており、担当者は「残りの200件について、連休中に最低1回は要請に応えられるように態勢をつくりたい」としている。
一方、内堀雅雄知事は15日の災害対策本部員会議で「迅速な復旧には災害ボランティアの協力が不可欠」と強調し、18日までの3連休を活用したボランティア参加を呼びかけた。
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