前代表が交付金1630万円を着服 会津坂下、農業者の任意団体

 

 会津坂下町朝立地区の農業者らでつくる任意団体「朝立集落協定」前代表の60代男性が、国や県などからの交付金計約1630万円を着服していたことが16日、町への取材で分かった。町によると、男性は5月末までに全額を弁済しているため、町や同集落協定は刑事告訴しない方針。集落協定は、農業の生産条件が不利な地域で営農を継続するため、国や自治体から支援を受けることができる制度。朝立集落協定には農家など約20人が参加し、国、県、町から年間約650万円の交付を受けている。

 町によると、男性は実際には実施していない工事の請求書や領収書を偽造したり、草刈りの回数を水増ししたりして交付金の一部を着服していた。借金の返済や生活費などに使ったとみられるという。男性は2017年から代表に就いていたが、それ以前にも予算を管理する立場にあったため、10年ごろから着服していた可能性がある。

 昨年3月に関係者からの情報提供を受け、同集落協定が町の立ち会いの下で調査を進めたところ、男性の着服が確認された。男性は「申し訳なかった」と話しているという。

 同集落協定は今後、関係者向けの説明会を開く予定。再発防止に向け、町は集落協定の運用規定を新たに定めて周知を図るほか、これまで置いていなかった監事を置くよう、町内の各集落協定に指導した。