処理水放出「廃炉へ一歩」 西村経産相来県、2回目へ万全期す

 
浅野社長(手前右)から工場の特徴などの説明を受ける西村経産相(同左)=双葉町・浅野撚糸双葉事業所

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出を巡り、西村康稔経済産業相は17日、初回の放出終了後初めて本県を訪れ、相双地方を視察した。西村氏は初回の放出をトラブルなく終えたことを受け「第1原発の廃炉に向けて大きな一歩を踏み出した。安全性を確保し(2回目の放出へ)引き続き万全を期して対応したい」と語り、安全を最優先に海洋放出を継続する方針を強調した。視察後、報道陣の取材に答えた。

 西村氏は海洋放出に伴う風評対策について「これまでも福島の水産物の安全性や魅力を発信してきたが、もう一段力を入れて対応したい」と述べ、経済界に改めて協力を要請する考えも示した。

 産業復興を巡っては、本県を水素の一大拠点にするための政策を進めることに意欲を示し「東京と福島を結ぶ水素トラックを走らせるため、水素の充填(じゅうてん)設備を東京と福島の間に重点的に整備したい」と述べた。

 今回は内閣改造で留任後初めての本県訪問。西村氏は双葉町に進出した浅野撚糸(ねんし)の双葉事業所を訪れ、浅野雅己社長の案内で工場を視察した。伊沢史朗町長が同行した。

 帰還居住区域の除染「早ければ年内にも」

 西村氏は大熊町で吉田淳町長と意見交換し、原発事故による帰還困難区域のうち、避難指示解除に向けて新設される「特定帰還居住区域」の除染について「早ければ年内にも始めたい」と述べた。

 浪江町では吉田栄光町長と一緒に県産のヒラメやスズキなどを味わった。