第4次韓流ブーム...韓国の今 【現地ルポ】歴史、文化、くらし

福島民友新聞社など東北6県の新聞社や放送局を招待した駐仙台韓国総領事館主催の韓国訪問事業が12~15日、行われた。第4次韓流ブームが到来するなど、日本では若者を中心にグルメや音楽、ドラマなど人気を集める韓国。そんな隣国の歴史や文化など現地の様子を取材した。(報道部・多勢ひかる)
■広蔵市場-どれもおいしそうで目移り
韓国最大の市場の一つ、広蔵(クァンジャン)市場。ソウルで最も長い100年以上の歴史を誇る市場とされている。飲食物などの屋台や店がぎっしりと並び、熱気あふれる通りは深夜まで市民や観光客でにぎわう。
店先に積み上がっているのはトッポギ(餅)、チャプチェ(春雨)、キンパ(韓国のり巻き)...。ごま油の香りが鼻をくすぐり、どれもおいしそうで目移りする。聞こえてくるのは韓国語ばかりで分からない、と思いきや「イラッシャイ!」「オイシイヨ!」。写真を撮っていたら笑顔で手招きされた。
観光客も店主との会話を楽しみながら現地グルメを味わっているようだ。ユッケや生レバーなどを注文した東京都の金城愛加さん(31)、永井篤さん(28)は「屋台は日本にはない雰囲気。とても楽しいし本場のご飯もおいしい」と満足げ。ジュース店を営む女性は「ここは外国人観光客がよく来る。新型コロナウイルス禍前は中国人が一番多かったけれど、今では日本人がいっぱい」と教えてくれた。
■仁川「パラダイスシティ」 カジノで大金獲得の夢
仁川(インチョン)広域市・永宗島(ヨンジョンド)にそびえ立つ「パラダイスシティ」。カジノを中心とした北東アジア初の統合型リゾート施設(IR)だ。総面積約33万平方メートル、東京ドーム約7個分の敷地内には宿泊施設にプールやスパ、ショッピングモール、テーマパークなどがあり、まさに「パラダイス」。人生初のカジノを体験した。
※写真=北東アジア初の統合型リゾート施設(IR)「パラダイスシティ」にあるカジノ。中での写真撮影は一切禁止となっている
入場できるのは19歳以上の外国人で、パスポートの提示を求められる。一歩足を踏み入れると、きらびやかな場内のあちこちで拍手や歓声が上がり、気持ちが高ぶる。初回サービスとしてプレゼントされた5万ウォン(約5千円)のチケットを握りしめ、いざ勝負の世界へ。
まずは「2分の1で当たるから初心者向け」とおすすめされたバカラに挑戦。ディーラーがトランプを何枚か並べて...と眺めていたら一瞬で全財産を没収された。目を疑ったが、どうやら負けたらしい。このまま引き下がれないので、さらに自腹の5万ウォンを追加してルーレットにも挑む。一度は倍に増えた喜びもつかの間、瞬く間に大金ゲットの夢は消え去った。
■軍事境界線-天候不良でも見える北朝鮮
朝鮮戦争の休戦協定締結から今年で70年。韓国と北朝鮮の軍事境界線の南北には、非武装地帯(DMZ)が設けられている。幅約4キロのDMZ内にあり、北朝鮮国内を近くから見ることができる韓国最北端の展望台「都羅(トラ)展望台」を訪れた。あいにくの天気だったため、肉眼では遠くまで見通すことができなかったが、双眼鏡をのぞくと北朝鮮の国旗や故金日成(キムイルソン)主席の銅像をうっすらと確認することができた。
※写真=韓国と北朝鮮の軍事境界線の南北に設けられた非武装地帯(DMZ)。都羅展望台からは北朝鮮を見渡すことができる
北朝鮮が韓国侵略のためソウルに向けて地下を掘っていたとされるトンネルも見学した。発見されている四つのトンネルのうち、1978年に京畿道(キョンギド)・坡州(パジュ)市で3番目に見つかった「第3トンネル」は地下73メートルに掘られ、幅2メートル、高さ2メートル、全長約1・6キロ。一部を歩き、軍事境界線まで約200メートルの地点まで近づくことができる。中はひんやりとしていて鍾乳洞のよう。壁に残る多数のダイナマイトの爆発跡が生々しく感じられた。
■東亜日報-ネット、動画にも力
韓国の全国紙の一つ、東亜日報本社を訪れた。同社は日本統治時代の1920年に創刊。発行部数は約70万部で、編集局の記者は300人ほどいるという。
編集局を案内してもらうと、記者は取材でほとんど出払っていた。編集会議は1日3回。コロナ禍以前は一堂に集まっていたが、現在はオンラインで済ませているという。別フロアには「上司立ち入りNG」のフリースペースがあり、開放的な空間で飲み物やお菓子を手にリラックスして執筆する記者らの姿があった。
※写真=東亜日報社内にあるフリースペース。開放的な空間で記者らが記事を執筆していた
韓国では近年、デジタル化の影響から市民が紙の新聞を読まない傾向にあるという。紙媒体メディアの悩みは世界共通だ。購読者も年々減少する一方で、身近な店舗で新聞が販売されていない。記者も現地の新聞を目にしたいとソウル市内のコンビニを何件か回ったが見つからなかった。新聞離れは日本以上に深刻のようだ。
そこで同社は、新聞社が生き残るためにネット記事やユーチューブ配信にも力を入れている。記者と政治評論家が熱く討論する動画を撮影する一室をのぞくことができた。同社に隣接する旧社屋を改装した新聞博物館「PRESSEUM」では、新聞の歴史や紙媒体の役割を市民に発信している。
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