「処理水」サイトのアクセス数2.8倍に 海洋放出後、海外関心高く

 

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の情報をまとめた「処理水ポータルサイト」について、アクセス数が急増していることが運営する東電への取材で分かった。初回放出期間中(8月24日~今月11日)のアクセス数は計約82万回に達し、放出前の月平均(約29万回)の約2・8倍に上った。外国語ページへのアクセスも目立ち、国内外で処理水放出への関心の高さがうかがえた。

 サイトは、処理水の理解醸成を目的に東電が2018年に開設した。汚染水から多核種除去設備(ALPS)を使い放射性物質を取り除く過程をはじめ、処理水を沖合約1キロへ放出する仕組みや処理水の保管量といった情報を紹介。処理水に含まれる放射性物質トリチウムの性質も解説している。外国語表記も充実させており、現在は英語、中国語や韓国語に対応している。

 東電によると、放出が始まった8月24日の国内アクセス数は約15万回と、月平均の半分以上に達した。この日は外国語のサイトにも計約4万9千回のアクセスがあった。

 このうち中国語のページは6割以上に当たる約3万1千回のアクセスがあった。中国を含め韓国、台湾、香港、英語の各言語に対応したページとも、一日のアクセス数が月平均を上回ったという。
 処理水放出を巡っては、風評への懸念や科学的根拠に基づかない情報が交流サイト(SNS)などで散見され、国や東電による正確で分かりやすい情報発信の重要性は増している。

 東電は「世の中の関心と透明性確保に向けた情報公開の重要性を強く認識し、関心の高い情報をより分かりやすく伝える」と強調する。双方向での対話によるあらゆる意見を踏まえ、情報発信を改善していく考え。