大熊・復興拠点の鉄くず、無断持ち出しか 県内業者に売却疑い

 

 東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、除染とインフラ整備を先行した特定復興再生拠点区域(復興拠点)で、建物解体工事の現場から出た金属くずを作業員が無断で持ち去り、県内の業者に売却した疑いがあることが19日、環境省福島地方環境事務所への取材で分かった。放射性物質汚染対処特別措置法に抵触するとみられる。

 環境省によると、工事現場は大熊町の復興拠点内にある町図書館・民俗伝承館。復興拠点の避難指示は昨年5月に解除された。町内の建物解体や除染などの工事を鹿島・東急特定建設工事共同企業体(JV)が約51億円で受注し、今年2月ごろに伝承館の解体に着手した。持ち去りは4~6月ごろに行われ、環境省は7月下旬、JVからの報告で把握した。JVは県警にも詳細を伝えたとしている。

 持ち出しをした作業員は1次下請けの土木工事会社「青田興業」(大熊町)に所属している。解体工事の受注業者は今夏から別のJVに替わり、青田興業も下請けから外れている。