福島県×59市町村、災害相互応援で協定 職員派遣調整、初動迅速に

 
災害時の相互応援を円滑化する協定を結んだ(左から)宮田町長、内堀知事、高松市長

 大規模災害の頻発化を受け、福島県は24日、県内59市町村と相互応援協定を結んだ。災害発生時は県が一元的に必要な応援職員の人数や期間を調整し、新たに設ける「ふくしま災害時相互応援チーム」が現地入りする。調整にかかる被災自治体の負担が減り、応援業務の速やかな開始が期待される。

 新たな枠組みでは、被災自治体から応援要請があった場合、県は他の県内市町村にチームへの参加を依頼する。依頼に応じた市町村は直ちに応援職員を現地へ派遣。住家被害の認定調査や罹災(りさい)証明書の発行手続き、避難所運営などの業務に当たる。

 県によると、これまでは被災市町村が県や他市町村と個別に調整する必要があり、負担となっていた。今後は県が必要人数や職種、期間を把握し、自治体規模などを踏まえた合理的な計画を作成するようになる。

 県は協定に基づき、市町村ごとに異なるという住家被害認定調査の実務も標準化を図る。ガイドライン(手引)を策定し、市町村担当者向けの研修会を開催するなど、応援活動の支障になっていた実務の違いを解消する考えだ。

 県庁で行われた締結式で、内堀雅雄知事は「県と市町村が一体となって迅速、円滑な対応に取り組むなど災害に強い県づくりを推し進める」と述べた。

 県市長会副会長の高松義行本宮市長は「非常に意義深い協定だ」と語った。県町村会長の宮田秀利塙町長は「町村では職員数が限られ、災害時は他自治体からの応援が不可欠。県全体の相互応援が強化されることを願う」と話した。

 愛称は「土砂アラート」

 福島県は24日、県土砂災害情報システムの愛称が「土砂アラート」に決まったと発表した。11月1日午前10時から、この愛称での運用を始める。

 県によると、今月16日に開かれた審査会で、審査員から「土砂」と「警報」を合わせた言葉がシンプルで親しみやすいとの評価があった。優秀賞には「土砂なび」「土砂ナビふくしま」「土砂シル」の3点を選んだ。7月24日から8月25日まで募集を行い、県内95件、県外485件の計580件の応募があった。

 新システムは2月に刷新した。土砂災害の危険度について、これまで市町村をベースに表示していたが、刷新後は大字単位などとし、562地区に細分化している。