福島県、米量販店と連携協定へ合意 県産米や果物の輸出拡大へ

 

 【米ハワイ州ホノルル=報道部・矢島琢也】県は28日(日本時間29日)、県産米や果物の輸出拡大に向け、米国や東南アジアなどで量販店を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)と連携協定を結ぶ方針で合意した。PPIHの量販店では、米国で県産米、東南アジアでモモやナシなどの県産果物を取り扱っている。県は協定締結を通じ、海外で県産品のさらなる市場拡大につなげる考えだ。

 内堀雅雄知事とPPIHの松元和博取締役・専務執行役員CMO(最高マーケティング責任者)がホノルル市内で会談後に明らかにした。協定の詳細な内容については今後、両者で検討する。

 県とPPIHなどは1月に内堀知事が訪米した際、年間100トンの県産米の米国輸出で合意していた。PPIHによると、米ロサンゼルスにある量販店10店舗の販売プロモーション強化に伴い、年間50トンを超える販売を計画。ハワイでは4日から、量販店4店舗で初の県産米フェアを開いており、県ブランド米「天のつぶ」を販売するほか、弁当に使うコメも天のつぶに切り替えた。ハワイも合わせた計14店舗での販売は現時点で年間83トンを見込む。

 県産米の輸出を巡っては東京電力福島第1原発事故による米国の輸入規制が2021年9月に撤廃され、21年度は約2.2トン、22年度は約27トンを輸出した。県によると、本年度は米国への輸出強化もあり、輸出量は増える見通しだ。

 また、東南アジアへの県産モモやナシ、リンゴといった果物の輸出も増加傾向にある。輸出品の大半をPPIHの量販店で扱っており、相互の連携を深めることで県産食材の魅力を効果的に海外に発信していく。

 内堀知事は「PPIHには素晴らしい販売ネットワークがあり、大事なパートナーとして一緒に進めてきた。協定締結を機に、新鮮な果物などの輸出をしっかり行っていきたい」と意欲を示し、松元氏は「生産者の努力がハワイやロサンゼルスの顧客に届いている。世界の国々の顧客にも伝えていきたい」と語った。