医師確保の方策を盛り込む 検討会議、大野病院後継構想に同意

 

 東京電力福島第1原発事故後休止している県立大野病院(大熊町)の後継医療機関について、県や地元町村長、医療機関でつくる検討会議は31日、最終会合を開き、県の基本構想案におおむね同意した。2029年度以降の開院を見込む。構想案には医療人材確保の方向性が新たに盛り込まれたが、委員からは難航を懸念する意見も目立った。

 構想案では医療人材の確保に向け、双葉郡や周辺の人材不足を「深刻な状況」と整理した上で、県内外の高等教育機関との連携に加え、研究環境や育成プログラムを充実させる方針を示した。町村と連携し、生活環境の整備も進める。

 ただ本県は、医師の過不足などを数値化した医師偏在指標で全国平均を大きく下回る「医師少数県」。委員の1人は「今から人材確保を進めないと間に合わない」と危機感を強調した。ほかに「開院まで6年はあまりに長い」(伊沢史朗双葉町長)など、開業時期の前倒しを求める声も複数出た。

 後継施設はJR大野駅近くにある大野病院の敷地に新築する。内科や外科、整形外科、産婦人科など20の診療科を設け、2次救急医療機関として救急患者の受け入れに対応する。既存の大野病院は解体する。

 福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の推進などを前提に、35年の双葉郡の人口を3万8000人と仮定し、病床は大野病院の150床より多い250床前後とする。開院時は100床前後とし、復興状況を考慮しつつ段階的に増やす方向だ。

 検討会議は今月末に基本構想を策定する。県は病院の具体的機能や必要な人員規模などを盛り込んだ基本計画を24年度中に作成、公表する方針。