浪江・エフレイ、機能別に4区画整備 一部は住民や企業に開放

 

 復興庁は浪江町に設立した福島国際研究教育機構(エフレイ)の施設整備を巡り、敷地内を四つの区画に分けて研究や実験など各機能を担う建物を整備する。JR浪江駅や駅周辺のにぎわい創出を目指す再開発エリアに隣接する敷地東側の区画は、住民や企業の関係者らが利用できるスペースとして開放する方針。

 復興庁が31日、建築学の専門家ら外部有識者を交えた会合を開き、施設基本計画の骨子を示した。敷地東側の研究支援ゾーン1は講堂や会議室、図書室、食堂、売店などを配置し、誰でも自由に出入りできる環境を整える。新産業の創出に向け地元企業の関係者や起業家らが研究者と交流する場としての活用も促す。建物の外には散歩などに適した緑地空間を整備する。研究支援ゾーン2には共同研究などで訪れる国内外の関係者らが短期間滞在できる宿泊棟を設ける方針。

 研究施設ゾーン1は、研究者のデスクワークなどで活用。同ゾーン2は大型研究機器を備え、新たなドローン技術の開発や放射線科学分野の研究実験などで利用する。

 施設整備の重点方針として、浪江町内を流れる請戸川や高瀬川が氾濫した際などに住民の一時避難場所として活用するなど地域防災に貢献する姿勢も強調した。「環境とサスティナビリティ(持続可能性)」も重視し、太陽光や地中熱、水素エネルギーなどの積極的な導入も目指す。

 復興庁は本年度内に施設基本計画をまとめる。2024年度に施設の具体的な構造の設計に着手し、30年度までに順次開設する。浪江町が都市計画に位置付けたエフレイの敷地面積は約16.9ヘクタールで、復興庁が今後、用地取得を始める。研究開発の中枢を担う建物の規模は4万1千平方メートル以上となる見通し。