「聖アンナ教会」3日に復活 人気のチャペル、演奏会で祝福へ

 
再オープンする吾妻高原聖アンナ教会の前に立つ橋本さん

 緑あふれるあの丘でもう一度―。吾妻連峰のふもとにある福島市荒井の観光スポット「アンナガーデン」のシンボル「吾妻高原聖アンナ教会」が、8年の時を経て復活する。かつて多くの新郎新婦が愛を誓った人気のチャペルの再オープンを記念し、3日にコンサートが開かれる。教会が建てられた当初から牧師を務める橋本光明さん(73)は「再開を願う声の期待に応えられてうれしい。また多くの人を祝福していけたら」と意欲を語る。

 吾妻高原聖アンナ教会は1993年、福島市の貸衣装業者が挙式用の教会として献堂。橋本さんによるとここで式を挙げたカップルは約3800組で、最盛期には1日に9組、月44組に上ったという。

 だが、挙式しないカップルの増加など社会情勢の変化が影響して利用者が減少。そこに東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が追い打ちをかけた。「娘がお世話になった教会だから」と建築会社の社長が崩れた外壁の修理を名乗り出るなど、多くの人々に支えられながら運営が続けられたが、運営業者がブライダル事業から撤退することを決定し、2015年に閉館した。

 再開を信じ、別の結婚式場で働いていた橋本さんに吉報が届いたのは今年5月のこと。バイクのディーラー会社の「ブレイブ」(福島市)が教会を購入し、一部をバイクの展示場として運営することになった。

 同社の安斎理社長(54)は教会を活用したブライダル事業も始めたいと考えており、「まさに夢に描いた通りのオーナーだった」と橋本さん。来春ごろにフォトウエディングのサービスを始め、ゆくゆくは以前のように挙式もできる教会にしようと2人は意気投合した。橋本さんは「訪れた人が穏やかな気持ちになってくれるような教会を目指したい」と言葉に力を込める。

 再オープン記念コンサートは3日午後2時開演。入場無料。出演する「サウスアイズ」さんも、約27年前にここで式を挙げた。「本当にうれしく、感激している。当日は心を込めて演奏したい」と、思い出の教会の復活を喜んだ。コンサートの問い合わせは橋本さん(電話080・6027・9116)へ。(多勢ひかる)

あんなガーデン