教員の性犯罪、処分を厳格化 原則懲戒免職に

 

 県教委は、児童や生徒を対象とした教職員の性犯罪・性暴力に対する処分を厳格化する。これまで懲戒免職か停職としていた処分の規定を、原則として懲戒免職処分のみとする。県内では本年度、盗撮などわいせつな行為に関連した容疑で教員3人が逮捕されるなど教職員の不祥事が続いており、県教委は再発防止対策と合わせ、性犯罪などへの処分厳格化により教職員の不祥事防止に向けた危機感醸成につなげたい考えだ。

 新たな処分規定は来年1月1日から適用。県教委によると、県内では2008~22年度の15年間に教職員が懲戒免職処分を受けた計54件のうち、半数超を盗撮などを含む児童生徒に対するわいせつな事案が占めたという。県教委ではこれまで、SNSで教職員が教え子と1対1で行う私的なやりとりを禁止したり、対策などをまとめた冊子やチェックシートなどを作成して綱紀粛正を図ってきた。

 ただ、全国的にもこうした児童生徒に対する教職員のわいせつな行為は多発しており、文部科学省も教職員による性犯罪などについては厳正な対処を求めていることも踏まえ、県教委も処分の厳格化に踏み切った。

 県教委は本年度、教職員の逮捕が相次いだことを受け、校長と教職員の面談や校長らを対象とした研修など再発防止に向けた取り組みを進めており、「処分の厳格化も併せ、不祥事に対する教職員の危機意識醸成につなげたい」(職員課)としている。

 教育長、現場で直接指導へ

 県内で教職員の逮捕が相次いでいることを受けて大沼博文県教育長は1日、全ての県立校を自ら訪問し、教職員に直接、不祥事防止を呼びかける考えを明らかにした。早ければ今月中にも始めたい意向で、教職員の綱紀粛正の徹底を図る。

 1日、福島市で開いた県教委の臨時所属長会議で示した。県内では本年度、盗撮などわいせつ行為の容疑で3人の教職員が逮捕された。10月26日には、教職員を指導、監督する立場にあった県立高教頭が県青少年健全育成条例違反容疑で逮捕されており、不祥事が相次ぐ中で再発防止に向けて教育長自ら各学校を訪問し、危機感などを伝える考えだ。

 緊急で開かれた所属長会議には、各県立学校長や教育庁関係者ら約110人が出席。大沼教育長は訓示で「本県教育に対する信頼を揺るがす危機的な状況」とした上で、再発防止に向けた県教委の取り組みを説明。「危機感を共有し、組織全体で再発防止に取り組んでほしい」と訴えた。