双葉中ピアノ、復活の音色 浅野撚糸事業所でリサイタル

 
復活した双葉中ピアノのリサイタル=4日午後、双葉町・浅野撚糸

 東京電力福島第1原発事故に伴い双葉中の音楽室に眠っていたピアノが修復され、4日、双葉町の浅野撚糸(ねんし)双葉事業所の中庭で復活のリサイタルが開かれた。ピアニスト西村由紀江さんによる演奏が行われ、12年7カ月の時を経て、双葉の空に復活の音色が響いた。

 被災地のピアノを再生して地域の元気を取り戻すプロジェクトの一環。双葉中は原発事故に伴い帰還困難区域にあったが、昨年8月に特定復興再生拠点区域(復興拠点)として避難指示が解除されたことから、全国各地の被災ピアノを修復しているいわき市のピアノ調律師遠藤洋さんと、被災地支援を続ける西村さんが企画した。

 リサイタルは双葉町中野地区復興産業拠点立地企業協議会の主催で、町民や浅野雅己社長、舘下明夫教育長ら約100人が集まった。西村さんと女性コーラスグループ「コーラスふたば」が出演し、双葉中校歌や双葉町民の歌、ふるさとなど約10曲を演奏した。

 西村さんは「ピアノは双葉町民の皆さんの励ましを受け、だんだんと力強い音色に変わった。双葉の人々を包んでくれるような音色だ」と話した。

 ピアノは浅野撚糸双葉事業所エントランスホールに常設展示される。