福島県外在住功労者表彰...矢内廣、野﨑洋光、満山喜郎の3氏に

 
(写真左から)県外在住功労者の矢内廣氏、野﨑洋光氏、満山喜郎氏

 福島県は6日付で、県外の各界で活躍する本県ゆかりの功労者をたたえる県外在住功労者知事表彰の本年度受賞者を発表した。チケット販売大手「ぴあ」社長の矢内廣氏(73)=東京都渋谷区在住、いわき市出身、日本料理店「分とく山」総料理長の野﨑洋光氏(70)=千葉県流山市在住、古殿町出身、英国県人会「ロンドンしゃくなげ会」会長で、海外の県人会でつくる「ワールド県人会」会長の満山喜郎氏(76)=英ロンドン在住、白河市出身=の3人が受賞した。

 矢内氏は、創業者として社業発展に取り組んだほか、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後は本県復興に向けた支援に尽力。野﨑氏は、国内を代表する料理人の一人として広く活躍し、県産食材の魅力発信を通じて県産農林水産物の風評払拭にも貢献した。満山氏は震災後、風評払拭のために英国などで本県の魅力や情報を発信する取り組みを続け、本県を支援してきた。表彰式は13日、福島市で行われる。

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 県が6日付で発表した県外在住功労者知事表彰を受けるチケット販売大手「ぴあ」社長の矢内廣氏(73)、日本料理「分とく山」総料理長の野﨑洋光氏(70)、英国県人会「ロンドンしゃくなげ会」会長の満山喜郎氏(76)の3人は、古里への思いを新たに各分野で一層の活躍を誓った。

 ■矢内 廣氏、エンタメで心の復興推進

 いわき市出身。磐城高、中央大法学部卒。大学時代にエンターテインメント情報誌「ぴあ」を創刊。1984年にオンラインによるチケット販売サービス「チケットぴあ」を開始し、業界に革命を起こした。

 東日本大震災後の2012年に復興支援活動団体「チームスマイル」を設立。活動拠点としていわき市や宮城、岩手両県、東京都内に多目的ホールなどを開設した。エンターテインメントを通じた心の復興を目的に多彩なイベントを開催し、被災者に笑顔と希望をもたらした。

 矢内氏は、チームスマイルの活動拠点となったいわき市の多目的ホール「いわきPIT」について「磐城高の同窓生や地元の皆さんが運営に携わってくれた。感謝したい」と話した。チームスマイルは設立から10年の節目が過ぎた昨年末で活動を終了したが、矢内氏は「今後も生まれ故郷を何らかの形で応援していく」と誓った。

 ■野﨑 洋光氏、県産品使い風評払拭尽力

 古殿町出身。料理人としての修業を経て、1989年に東京都の日本料理店「分とく山」の総料理長に就任した。素材そのものの味を生かした料理と「食の原点は家庭料理にあり」との考えから、伝統の日本料理界に新風を吹き込んだ。

 2004年アテネ五輪の野球日本代表チームで総料理長を務めたほか、テレビ番組などでも活躍。11年からは県のしゃくなげ大使として県内外で県産食材のPRに取り組み、東京電力福島第1原発事故による風評払拭に尽くしている。

 野崎氏はこれまでの本県への貢献について「『口福』を感じる郷里の福島の食を、県のみならず県外の人に知っていただきたい」との思いで取り組んできた。現在も各地のイベントで腕前を披露しながら、本県食材の魅力を発信している。

「これからも望まれるのであれば健康の食『健食の福島県』へ、食を通して貢献していけたら」と語る。


 ■満山 喜郎氏、海外県人会まとめ役担う

 白河市出身。24歳で単身渡英し、現地で免税品取扱店などを設立した。1993年に英国県人会「ロンドンしゃくなげ会」を結成、会長として本県出身者の親睦などに貢献してきた。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後は本県の復興支援や風評払拭に力を入れ、ロンドンで開かれるジャパン祭りへの参加を通じ、本県復興や食の魅力を発信している。2013年には在外県人会によるワールド県人会長に就任、海外の県人会のまとめ役としても重責を担う。

 満山氏は古里への思いを胸に英国などで本県復興の情報を発信し続けてきた。「個人でもらったとは思っていない。会や福島支援者を代表しての受賞だと思っている」と話す。震災後、福島のためにできることはないかと話し合い、実現したのが風評払拭の取り組みだった。「福島には世界に誇れるものがたくさんある。今後も魅力を海外で発信していきたい」と意気込む。