アルコール検査...機器費用が悩み 運転者に12月から義務化

道交法施行規則の改正で一定台数以上の「白ナンバー」の車を業務で使用する安全運転管理者選任事業者に、運転者へのアルコール検知器を使った酒気帯び検査が12月から義務化される。当初は昨年10月に始まる予定だったが、検知器の不足などから延期されていた。施行まで1カ月を切り、県内の事業所では毎朝の検査が定着する一方、検知器の買い替えの費用負担などの課題も浮かび上がる。
「検知器は決して安くないが、従業員の安全や会社の社会的評判には代えられない」。リサイクル事業を手がけるエコライフ福島(福島市)常務の重巣(じゅうす)浩幸さん(60)は吐露する。同社が昨年9月に購入した検知器は1年間、または1000回という使用目安があり、今年9月末に3年間、または2500回使える1台約5000円のものを人数分買い替えた。
昨年4月の改正では、白ナンバーの車5台以上、または乗用定員数が11人以上の車1台以上を使用する事業者に運転前後の酒気帯び検査が義務付けられた。来月からは検知器を用いた検査が必要となり、検査記録は1年間保存しなければならない。
同社は車7台を保有し、従業員数は10人。検知器を昨年9月に取り寄せ、出勤前に検査してきた。昨年12月からはバス会社が出勤後の点呼で検査していることを参考に、事務所から仕事現場に向かう前や仕事帰りにも検査するようになった。従業員の安部利幸さん(41)は「検知器の導入当初は検査を忘れてしまうこともあったが、今では毎朝の習慣になった」と話す。重巣さんは「お酒を飲まない人に検査を徹底させるのに苦労した」と振り返る。記録は用紙に丸を付ける形で紙のファイルに保存している。
駆け込み需要と半導体不足が重なった昨年9月と比べ、現在の検知器生産数は安定している。「昨年は発注から到着まで45日かかったが、今年は約1週間で届いた」と重巣さん。国内の主要製造メーカーでつくるアルコール検知器協議会(千葉県)の担当者は「半導体不足がある程度回復し、今年4月ごろから検知器の供給が追い付いてきた。買い替えを考慮しても十分な量が市場に出回るだろう」としている。(桜井駿太)
県警「確実に実践を」
県警によると、県内で安全運転管理者を選任している事業所は9月末現在で約8800あり、一昨年の約7700から増加しており「改正が安全運転管理者を選任する一因になった可能性は高い」と分析する。
県内では今年、飲酒運転の事故が相次いでいる。9月末時点の交通事故に占める飲酒運転の割合は2.27%と過去10年で最も高い状況にあり、飲酒運転による死亡者の増加数は全国で最も多いのが現状だ。担当者は「検査の手間や検知器の買い替えの費用はかかるが、飲酒運転の撲滅のため確実に実践してほしい」と促している。
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アルコール検知器義務化 2023年12月から、白ナンバーの車を保有する事業者でも運転前後のアルコール検知器によるアルコールチェックと記録の1年間保管が義務となる、道交法施行規則が施行される。白ナンバーの車5台以上、または乗用定員数が11人以上の車1台以上を使用する事業者が対象。アルコールチェック義務を怠った際の直接的な罰則はないが、酒気帯び運転をしていた場合は道交法違反となり、行政処分が下される。
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