米ハーバード大大学院教授に福島医大・後藤あや氏就任へ

福島医大は7日、同大総合科学教育センターの後藤あや教授(52)が、来年1月1日付でハーバード大T・H・Chan公衆衛生大学院の教授に就任すると発表した。後藤氏は本県をテーマとしたコースを創設したい考えで、原発事故後の状況や復興への歩みなどを伝え、本県に対する正しい理解を備えた公衆衛生の専門家を育成する。任期は5年。福島医大とは特任教授として関わる。
同大学院は1913年に設立された米国最古の公衆衛生大学院の一つ。医学や疫学などさまざまな専門家が集まり、数多くの研究成果を上げている。
後藤氏は、国際保健・人口学講座武見太郎国際地域保健学教授に就任する。武見氏は元日本医師会長で、同大学院には国際保健に貢献した武見氏の功績をたたえて設立された医療従事者向けの研究・高度研修プログラム(武見プログラム)がある。日本人を含めて61カ国323人の専門家を輩出しており、後藤氏は同プログラムの運営も担当する。
本県をテーマとしたコースでは、震災と原発事故後の放射線の影響などを含めたさまざまな研究を伝えたり、公衆衛生の専門家が地域で働くために必要なコミュニケーション力などを伝えたりすることを想定。両大の学生が相互の大学に行き来して学んだり、卒後研修をハーバード大で実施したりすることも視野に入れる。
後藤氏は前橋市出身。山形大医学部卒。ハーバード大公衆衛生大学院修士課程(国際保健)修了、山形大大学院医学研究科博士課程(公衆衛生学)修了。2002年から福島医大で勤務し、震災後は県民健康調査「妊産婦に関する調査」などに携わっている。
福島との橋渡し「目玉」
後藤氏は、福島民友新聞社の取材に「ハーバード大と福島の橋渡しが一番の目玉だと思っている」と抱負を語った。
―抱負を。
「公衆衛生の専門家を育てる大学院で、国際地域保健学を担当する。ハーバード大と福島の橋渡しが一番の目玉であり、相互交流に向け、学生を行き来させたい。医師や看護師ら日本の専門家をハーバード大で研修してもらう短期コースの創設も検討している。40年続く『武見プログラム』の運営を継続するのも大きなミッションだ」
―自身の研究は。
「今まで取り組んでいる女性の健康、母子保健、国際保健などの研究を続けていく。武見プログラムには、毎年さまざまな国から専門家が学びに来るので、刺激を受けて共同研究などが加速すると思う。母子保健関係では、子ども参加型の学校保健教育を福島発でインドネシア、カンボジア、ルワンダ、ベトナムで展開していきたい」
―震災後の研究、ハーバードでの生かし方は。
「地域で活躍できる専門家の育成が大切だ。自分が主役になるのではなく、地域と一緒に共同作業するのが重要であり、福島をテーマとしたコースをつくって伝えたい。具体的には関係機関との意見交換の仕方や専門知識を分かりやすく伝える方法など、地域で働くために必要な技術を教えたり、震災そのものに関する現状やその後の取り組みを伝えられる内容にしたい」
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