楢葉・木戸川で伝統のサケ漁、不漁めげず...「合わせ網」に笑顔

 
伝統の合わせ網漁でサケを捕獲する組合員。大幅な不漁の中、20匹超を捕獲できて歓声が上がった=楢葉町・木戸川

 サケの不漁が続く中、楢葉町の木戸川漁業協同組合は7日、木戸川で伝統のサケ漁「合わせ網」を今季初めて行った。今季の捕獲数は近年で最も少なかったが、合わせ網で一気に20匹超を捕獲する"大漁"となり、不漁に頭を抱えてきた組合員にひとときの笑顔と活気が戻った。

 東日本大震災前は本州有数のサケの遡上(そじょう)地だった木戸川。かつて10万匹前後の漁獲量だったが、津波で施設が流され、東京電力福島第1原発事故の影響で4年にわたり稚魚の放流ができなかった。2015年にサケ漁を再開したが、海水温の変化などが影響しているためか不漁が続いている。

 同漁協によると、捕獲数は19年から特にひどく数百匹で推移している。今季は9月にやな場を設置し、10月から本格的に漁を始めたが、今月6日時点で34匹と最少。この日の合わせ網は、組合員約10人が川幅いっぱいに網を広げ、上流から網で追い込んでサケを一網打尽に捕まえた。

 最盛期では1回の合わせ網で数百匹のサケを捕獲していた。わずかな漁獲量に肩を落とした松本秀夫組合長(75)は「捕獲量が少ないと放流する稚魚も少なくなる悪循環に陥っている。県外から買った卵を孵化(ふか)させて放流しているが、今季はどこも不漁のようだ」と頭を悩ませていた。