個別賠償額説明に抗議文 津島訴訟控訴審、原告側「悪意感じる」

 

 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となった浪江町津島地区の住民が国と東電に損害賠償などを求めた控訴審で、原告代理人は8日、仙台高裁が実施した同町での現地進行協議で東電が原告に支払った個別の賠償額を説明したことに「原告の気持ちを全く考えていない」などとして、10月下旬に東電に抗議文を送ったことを明らかにした。

 仙台高裁で同日開かれた第7回口頭弁論閉廷後の報告集会で原告代理人が経緯を報告した。原告代理人によると、現地進行協議は5月、裁判官らが被災状況や現状を確認するために実施され、津島地区の住居や寺など10カ所を訪れた。東電は多数の関係者がいる中、全ての場所で原告に支払った賠償額を説明したという。

 原告代理人は「プライベートな個人情報をあの場所で話すのは悪意を感じる」とし、抗議文では東電の対応を非難した上で「法廷で具体的な金額を読み上げないよう強く申し入れる」とした。

 この日の弁論では、原告側の意見陳述が行われた。次回は来年3月11日午後2時から。