元職員、傷害致死罪を否認 小野の特養94歳死亡、地裁郡山で初公判

 

 福島県小野町の特別養護老人ホーム「つつじの里」で昨年10月、入所していた須賀川市の女性=当時(94)=が死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた小野町和名田字下落合、元同施設職員、被告の男(42)の裁判員裁判初公判は8日、地裁郡山支部(小野寺健太裁判長)で開かれ、被告は「暴行は行っていない」と起訴内容を否認した。

 公判は被告の暴行が原因で女性が死亡したかどうかが争点。冒頭陳述で検察側は、事件当日の朝の検査では女性に異常がなかったとし、「(被告が)故意に暴行を加えて出血性ショックで死亡させた」と主張した。

 また事件当時、被告は別の職員に「警察に逮捕されてしまうかもしれない」と発言していたと指摘した。

 弁護側は「女性が自らの過失でけがした可能性が排除されていない」などと指摘し、「暴行の事実が証明できない」と反論。被告は女性の排尿を促すために下腹部を押したが「適切な力だった」と述べた。

 起訴状などによると、被告は昨年10月8日午後6時20分ごろ~同9日午前4時40分ごろ、女性の腹や胸、下顎などに暴行を加えて下腹部の臓器の膜を傷つけたり、背骨を折ったりするなどのけがを負わせ、死亡させたとしている。

 次回公判は9日午前10時から、証拠調べを行う。