矢祭「どこでも読書」 本の交換スタンド、11カ所設置

福島県矢祭町の喫茶店などに、本が並べられたスタンドがある。これらの本は、誰でも自由に借りることができるほか、どこのスタンドに返してもいい。気に入ったら、そのままもらうこともできる。より身近に本に親しんでもらおうと、「読書の町」を掲げる矢祭町の矢祭もったいない図書館は「本のこうかんスタンド」を設置し、読書の推進に取り組んでいる。
借りて、もらって、寄贈もOK
スタンドは町内11カ所にあり、貸し出しカードなしでお気に入りの本を借りることができる。スタンドを設置している、そうだ商店の宗田真澄さん(51)は「『この本読んだことがないから読んでみたい』と、本を借りていった人がいた。興味を示している子どもも多く、本を読むきっかけになっていると思う」と話す。
全国から寄せられた図書でつくる同図書館の蔵書の一部を使用し、本の貸し出しや返却を行っている。スタンドを訪れる人が読まなくなった本を持ち込み、寄贈することもできる。「今よりも手軽に本を借りることができたらな」。この仕組みを考えた町地域おこし協力隊の大羽未准さん(23)は思いを語る。
町で読書の推進に励んでいる大羽さんは、利用者から「本を借りても、返しに行く足が重い」という意見があったことや、寄贈本を貸し出している同図書館には、3月時点で約48万冊の蔵書が集まり、同じ本が何冊もあったことから「本を返さなくてもいい形としてスタンドを考えた」という。最初にスタンドに置いた本が入れ替わっていることも多く、大羽さんは「利用してくれているのを感じる」と喜ぶ。
町は子どもたちをはじめとする町民が書物に親しみ、書物を通して問題解決する気風を育てようと、2007年に「読書の町矢祭」を宣言。同年に全国から寄贈された図書をもとに矢祭もったいない図書館を開設したほか、毎月第3日曜日を「矢祭読書の日」に制定。矢祭子ども司書講座などのイベントを定期的に開くなど、読書に親しめる環境を整えてきた。一方で、同図書館の来館者数は新型コロナウイルス感染症が流行した2020年ごろから微減している。大羽さんは「これからもっと本に親しんでもらう環境を整え、本を読んだことで得られる経験を体験するイベントなども考えていきたい」と語る。(伊藤大樹)
小学生時代から読む習慣が大切
県内では学校司書の配置が進み、本を手に取る環境が整備されつつある。学校図書館内には読書を促す展示やコーナーを設置するなど工夫を凝らしているが、郡山市の富田東小の学校司書遠藤広美さん(56)は「小学校高学年や中高生になるとスマートフォンを触る時間が増えてしまう」と指摘する。
遠藤さんは本を読むきっかけとして、書評の発表を競うビブリオバトルは効果的とし「本に向き合う時間をつくったり、小学生のうちから本を読む習慣を付けることが重要」と語る。
スタンド設置場所
本のこうかんスタンドが設置されているのは、矢祭もったいない図書館、丸安魚店、そうだ商店、珈琲香坊、ヒガシダテ待会室、矢祭町役場、白河信用金庫矢祭支店、福島銀行矢祭支店、矢祭郵便局、石井郵便局、下関河内郵便局。スタンドの使い方などの問い合わせは矢祭もったいない図書館(電話0247・46・4646)へ。
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