会津坂下のいじめ訴訟、和解へ

 

 会津坂下町の当時中学1年生だった長男が校内でいじめに遭ったのは、学校が事前に適切な対応を取らなかったからだとして、両親が町に330万円の損害賠償を求めた訴訟を巡り、町は9日、学校側が長男への配慮を欠いた状態だったと認め、原告と和解する方針を示した。古川庄平町長が同日の町議会臨時会で関連議案を提出し、全会一致で可決された。

 町によると、町は原告との協議を経て、福島地裁から和解案が提示されていた。福島地裁に和解意向を伝え、17日にも和解が成立する見通し。今回の事案に対する謝罪文を町のホームページに掲載する予定だ。

 生徒の父親は福島民友新聞社などの取材に対し「和解案に合意する方針を示したことは評価するが、判断に至った経緯を明らかにしてほしい」と話した。

 訴状などによると、2014年5月、長男が筆箱を隠されるいじめを受けたのを学校側が把握し、関係した生徒を捜したが特定できなかった。このため、学年全体に、昼休み中にトイレ以外で教室から出ることを禁止する「禁足」措置を取った。これに不満を募らせたほかの生徒たちが、長男に暴言や暴行をするようになり、長男は不登校になったとしている。

 町によると、和解案の主な内容は▽禁足措置を取ったのは教育上、不相当だったことを認める。禁足措置を取ったことによりいじめが誘発され、不登校となったことを謝罪する▽学校教育での禁足措置を行わないことを約束する―など。和解金の支払いはないという。