東邦銀純利益3割増 中間決算、経済活動の再開反映

 

 東邦銀行が10日発表した2023年9月中間連結決算は、前年同期に海外金利の上昇などへの対応として計上した投資信託の解約損の影響がなくなり、県内景気の上昇に伴い与信関係費用が減少した影響で、純利益は33億900万円(前年同期比31・7%増)となった。経常収益が291億8800万円(同4・9%減)、経常利益が50億8300万円(同27・4%増)の減収増益だった。

 経常収益は、大企業を中心に人手不足やデジタル化に伴う効率化に向けた設備投資の動きがあり、事業性貸出が増加して貸出金利息を押し上げた一方、昨年同期に比べて株式を中心とした有価証券の売却益が伸び悩んだ。

 有価証券は7646億円(同41・0%増)を計上。今後の金利上昇を見込んだ安定的な利息配当金確保と運用力の向上のため、残高の着実な積み上げと株式などの銘柄を入れ替えた。

 本業のもうけを示す連結のコア業務純益は、前年同期から8億2700万円減の52億6200万円にとどまった。連結の自己資本比率は9・43%で前年同期より0・24ポイント低下したが十分な水準を維持した。

 福島市の本店で記者会見した佐藤稔頭取は「新型コロナ5類移行後の経済活動の再開が数字に反映され、景況感はゆるやかに回復している」と説明。その上で「企業への貸出金も増加しているが、今後物価や人件費上昇などの影響を含めた成長軌道を描けるかが課題」との認識を示した。